小学校外国語活動はこれ1冊でO.K.@  文法よりも単語

 

 

  先日、ある聾学校の校内研修会にお邪魔した時に、「中学部(中学校)に行ってから困らないように、がんばって文型や文法も教えた」という発言に出会いました。聞いた瞬間に「ウーン!?」と戸惑いました。小学校外国語活動を巡る誤解の一つに『英語学習全般の前倒し』というイメージでの取り組みがあるように思います。指導者がベテランの場合には、文法重視の英語教育をご自分が受けてきていますので、なおさらに文法への傾倒が強まるようにも思います。

  実はこの背景には文科省の編集している「Hi,Friends」の影響もあると思うのです。6年生の最後のターゲットは‘ What do you want to be ? ’に対する答えをミニプレゼンする内容です。この内容は文法的に見れば不定詞を使っているものです。現在の中学校の教科書では、不定詞は各社とも2年生の真ん中くらいの時期に行います。つまり、結構後になって勉強する内容なのです。こんなものが入っているからと、6年生でも文型や文法を教えておかなきゃ、と考える瞬間におとし穴にはまります。

  極論するなら、小学校外国語活動には文法は不要なのです。この経緯は機会を改めて書くつもりですが、小学校外国語活動では文法的な説明よりも、表現を繰り返し聞いて何を求められているのかを聴覚的に理解することが重視されます。だから‘ What do you want to be?’には pilot, professional baseball player, J-league player, nurse, elementary teacher など、自分のなりたいものを挙げられることが重要なのです。ある特定の問いに対する答えを自分で考えて、ふさわしい英語表現(それもほとんどが単語か句のレベル)を返すことができればO.K.です。文法的な理解は、中学校に入ってからのお楽しみ、というわけです。

  私などは、この‘ What do you want to be ? ’を巡る問題は別の所にある,と思っています。それは、子どもはどんな職業をあげるのだろう? その職業を小学校の先生はきちんと英語で表現する支援をしてあげられるのだろうか? という疑問です。子どもは本当にいろんなことを考え、私たちを驚かせ・悩ませ・楽しませてくれます。「将来は行ったこともない国を次々と巡って冒険する仕事なら何でもいい」「何か人の役に立てる仕事がしたい」こういった表現に対して、子どもの英語知識がマッチするとはとうてい思えない。そこをどう指導するんだろう、と同情いたします。

  小学校英語活動で重要なのは文法よりも「語彙」です。学習を通して、英語学習の基礎となる語彙を習得すること、これができれば小学校外国語活動は十分かもしれません。外国へ行って英語でコミュニケーションしてみると語彙の不足は痛感しますが、文法は意識することが少ないようにさえ思います。

「ハロー・イングリッシュ」を執筆するに当たっては、この点を十分に考慮して取り上げる語彙を統制しました。小さな本ですが、名詞・形容詞・副詞・動詞などのバランスを考え約180個の単語を厳選し、何とか身につくように整理してあります。この1冊に入っている単語が身につけば、中学校での英語学習で困ることはありません。 各チャプターごとに使った英単語を、スペルと読みを提示しながらまとめてあります。付録のレッドボードで読み(赤字)をかくして読めるところまでやりこめば完璧です。

  この本は集団で取り組むためのテキストではありませんが、家庭学習・補充学習・通級指導 など、少人数で学習をする際のテキストとしては格好の作りになっています。小学校外国語活動の手引きとして使っていただけるといいなあといつも思っています。

レッドボードを使って,Let' Check(レッツ・チェック)

1.three(スリー)  2.six(シックス)  3. eight(エイトゥ)  4. nine(ナイン)   5. English(イングリッシュ)  6. question(クエスチョン)  7.answer(アンサァ)  8.black(ブラック)  

9.water(ウォーター) 10.cook(クック) 11. happy(ハピィ)  12.dream(ドゥリーム) 13.speak(スピーク)    14. school(スクール)   15. help(ヘルプ)  16.Friday(フライデイ)

*各章のまとめには左のような単語の整理コーナーがあります。

 

 

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